少し前に、当店にいらっしゃった日本で暮らすペルー人のお客さんから聞いたのですが、ペルーでは豆を甘く味付けする習慣があるそうなので、日本の餡には抵抗がなく、好きな人も多いようです。

 では、たい焼きは海外で食べてもらえるのか、当店が海外進出したい訳ではありませんが、現在の状況について、ネット情報が中心ですが調べてみました。

■アメリカでのたい焼きブーム

昨年(2016年)の1110NHKで放送された『所さん! 大変ですよ』という番組の「不思議すぎるクールジャパン」という特集では、日本のアニメ番組『Kanon』がきっかけでアメリカを中心とした海外でたい焼きがブームになり、日本の厨房機器店に問い合わせや注文が増えていることが紹介されたようです。

 

 テレビアニメ『Kanon』公式ホームページ

 

 

アニメkanon画像

アニメ番組『Kanon』でたい焼きを食べているシーン(ネット上から拝借しました)

 

ただ、海外で販売されるたい焼きは、中身がつぶあんではなく、ベーコンやチーズなどが入っていることが多いようです。

とはいえ、番組の内容によると厨房機器店への問い合わせは5年ほど前から増えているそうなので、アニメ番組の影響で目立つようになったにせよ、もともとたい焼きへの注目は高まっているのかもしれません。

  

(追記)

 アメリカのたい焼きについての動画をYoutubeで見つけました。

 シアトルで営業しているフードトラック「BeanFish」さんを紹介しています。名前のとおり小豆(つぶあん)のたい焼きを作っているようです。もちろん、アメリカ人の好みに合わせた具もあり、ベーコンやチーズなどの食事にもできるメニューも充実しているみたいです。

 Youtube動画「美味しすぎる!」日本の伝統的なお菓子が米国で進化して大人気に」

BeanFishfacebookページ

(追記ここまで)

■エアロスミスのたい焼き事件

アメリカと言えば、有名なロックバンドの「エアロスミス」が、日本公演の際に買って帰ったたい焼きの取り合いからケンカして、解散の危機に陥ったという噂もあります。

さすがに、いい大人、というより地位のあるロックバンドがたい焼きで解散というのは大げさすぎると思ったのですが、改めてネットで検索してみると詳しく検証されているサイトを見つけました。

 

A Netlore chasesネットロアをめぐる冒険:エアロスミスはたい焼きで解散危機に陥ったのか、伝説の再生産』


 

 やはりこれによると、スティーブン・タイラーさんが食べようとしていたたい焼きを、他のメンバー食べられてしまったのは本当ですが、ちょっとムッとした程度でケンカにはなっていないよう、たい焼きだけにかなり尾ひれが付いているようです。

 なお、このサイトによるとこのエピソードは2002年の日本公演時のものと推定できるそうなのですが、エアロスミスがたい焼きを好んで食べていたのはそれ以前のことからのようです。

 

 また、このサイトの検証の中には、スティーブン・タイラーさんが「高級たい焼きより普通のたい焼きが好き」という発言をしていることも書かれています。おそらくですが、高級たい焼きは一丁焼きのことを指すのではないかと思われますので、うちの店としてはあまり喜ばしくない内容。うちの店でないにせよ、やっぱりアメリカに方には甘さを抑えた餡はわかりにくいのかもしれません。

 

■ロシアのたい焼き

 ロシアでは、サンクトペテルブルグで2015年からアナスタシア・ベレゼネツさんという女性が「たい焼きカフェ」をオープンさせているそうです。

 

アナスタシアさんは、テレビ東京の番組『世界!ニッポン行きたい人応援団』で招待されて来日し、「わかば」さんの富山店で一丁焼きの練習をされていたので、見られた人も多いのではないでしょうか。

 

『世界!ニッポン行きたい人応援団:“たい焼き”愛してやまないロシア美女ご招待!!

 

 このサイトにも詳しく載っています。

 SPUTNIC:ロシアにあんこを広めた伝説のたい焼き屋』


実際のお店は一丁焼きではなく普通のタイプのたい焼きです。「サーモン入りクリームチーズ」といういかにもロシアらしいメニューもあるようですが、しっかりとつぶあんのたい焼きも売ってられるとのこと。おにぎりなどの他の日本食も提供し、ちょっとした日本文化の発信地になっているようですね。写真で見ると、日本好きな女の子っぽい可愛さにあふれた店です。

現在は2店舗目も開店し、モスクワ進出も狙っているそうです。

 

いくつかのサイトに詳しい情報が載っていたのでリンクさせていただきます。

 

『疑念は探究の動機であり、探究の唯一の目的は信念の確定である。:ЯходилвТайяки-Кафе(たい焼きカフェに行ってきた)』 

 

『疑念は探究の動機であり、探究の唯一の目的は信念の確定である。:たい焼きカフェ(2)

 

『おそロシ庵:ペテルブルクにたい焼き屋がオープン!たい焼きが好きすぎてたい焼き屋を作ったロシア人』

 

■台湾のたい焼き

 台湾ではたい焼きのことを「鯛魚焼」と呼ぶそうです。もともと日本には親しみのある国なので、たい焼きについても知られているようです。勝手な想像ですが、日本の統治時代に持ち込まれたのかもしれません。

 

 なお、台湾同様に日本と近い韓国では、なぜか鯛ではなく鮒の形に独自に進化したプンオパン(鮒パン)というお菓子になっており、日本でも食べられる店があるようです。

・果川家https://tabelog.com/tokyo/A1311/A131106/13042864/

 

 さて、その台湾にある、おそらく海外で唯一の一丁焼きの店が『若葉鯛魚焼』です。

・若葉鯛魚焼https://www.facebook.com/wakabataiyaki/

 

この若葉という名前、たい焼き好きな方ならピンと来るかもしれません。そう、たい焼き御三家に数えられる東京・四ツ谷の「わかば」さん、台湾で若葉鯛魚焼を始めた台湾人女性は、早稲田大学への留学で来日し、四ツ谷の「わかば」さんで働いていたそうです。

ただし、「わかば」さんは、基本的にのれん分けをしない店、富山にある「わかば」さんは、親戚なので同じのれんを使ってられますが、働いていた人が「わかば」ののれんで独立することはありません。

この台湾の女性が「わかば」さんで働かれていた期間はそれほど長くなく、焼き手としてはほとんど仕事をされていなかったそうなので、正式に「わかば」さんの名前を継いでいる店とは言えないかもしれません。また、提供されているたい焼きの中身もつぶあんだけでなく、抹茶豆乳やチーズなどを入れているそうなので、「わかば」さんとは別物と考えたほうがよいと思います。

 

 以前に日本でもテレビのニュース番組で取り上げられていました。下のリンク先の記事がニュース番組とほぼ同じ内容だったと記憶していますが、早稲田大学に留学して修士号を取得して、大企業にSEとして勤めていたのにあえて起業した、という点が強調されています。

 

『フォーカス台湾:台湾女性、年収600万を捨て台北で「たい焼き店」開業新たな目標に邁進』

 

このことから、日本人にも多少は知られており、日本人の観光客も少なくないようです。行ったことがある知人に聞くと、けっこう繁盛していたとのことでした。たい焼きそのものが、日本の「わかば」さん(150円)より高い230円くらいとのことなので、経営も安定しているのかもしれません。

 

■その他の海外でのたい焼き

 ネットの情報を見ていると、海外でもたい焼きは少しずつ広がっているようです。考えてみれば、最近は冷凍食品にもなっているので、日本の菓子として販売されていても不思議はありません。

 とはいえ、専門店となるとまだほとんどないようです。その中でパリに専門店ができたことがニュースになっていました。

 

『パリにたい焼き専門店が開店 フランス人にとってはワッフル感覚』Exciteニュース:2017610日)

 

また、オランダ、アムステルダムにもたい焼き専門店があるようです。こちらは日本人の方が焼いているようです。

 

『地球の歩き方:オランダ/アムステルダム特派員ブログ クレオの妹:たい焼き屋さん』

 

■海外でのたい焼き店開業についての本

たい焼きについての本そのものが少ない中で、海外で日本人がたい焼き店をやるという話はさらに希少なのですが、知っている二冊を紹介します。

 

『やったモン勝ち! ─海外でたい焼きを売るという無謀でささやかなワーキングホリデー』(井上 著:筑摩書房)

 

タイトル通り、ワーキングホリデーでカナダでたい焼き店を開いた体験を綴った本です。実際の店舗探しや開店時の苦労などがしっかりと書かれているだけでなく、読み物としても楽しめる内容になっています。

 現在はもう絶版になっていますが、中古本であれば購入できるようです。

 

 筑摩書房のサイトhttp://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480818195/

 amazonのサイトhttps://www.amazon.co.jp/dp/4480818197

 

『中国でたい焼屋を始めたら・・・「彼ら」とビジネスで戦うための27の極意』(浜田 玄冬 著:幻冬舎ルネッサンス)

 

 こちらは、上海でたい焼き店を開いた会社の体験記です。中国ビジネスの失敗経験から学ぶことが主眼の内容になっていますが、普通の中小企業がたい焼き店をやろうとするとこんなことに苦労する、という内容も読み取ることができます。

 版元の「幻冬舎ルネッサンス」は、幻冬舎さんの自費出版部門とのことですが、商業出版だと言われても違和感のない内容です。

 

 幻冬舎ルネッサンス新社のサイトhttps://www.gentosha-book.com/products/9784779009853/

 amazonのサイトhttps://www.amazon.co.jp/dp/4779009855

 

 どちらの本も、すでに店を続けていらっしゃらない、過去の話です。

一丁焼きの当店とはちょっと違うところ大きいのですが、一方で学べることもたくさんありました。

 

 

「鯛」を特別視するのは日本だけかもしれませんが、餡を包んだ菓子として、さらには中に餡や具を入れ、何らかの意匠の皮で包んだ菓子という意味でのたい焼きは、海外でも可能性があるのかもしれません。

 
海外のたい焼き店の情報は、ネット上にあるものを中心に集めたのでかなり限定的かもしれません。たい焼きをコーンにしたソフトクリームなどの情報は意図的に外していますが、いわゆる普通のたいやきでの海外展開や、海外で作っている店がをご存知でしたら、ぜひお知らせください。