毎年7月の終わりになると、ともえ庵のある「阿佐ヶ谷パールセンター商店街」のお店では、七夕まつりの準備が始められます。

「阿佐ヶ谷七夕まつり」は、今年が64回目。84日(金)~88日(火)までの開催です。毎年、商店街の路上を埋め尽くす人手で、特に最近は年々来客が増えつつあるそうです。お隣の駅、高円寺で開催される「高円寺阿波踊り」と並んで、杉並区を代表する祭りになっています。

七夕入り口


■ハリボテについて

「阿佐ヶ谷七夕まつり」の売りはアーケードの天井から吊り下げられた巨大な張り子の人形「ハリボテ」です。

 このハリボテは商店街の各店が作って吊るしています。作ることが厳密に強制されている訳ではありませんが、各店が自発的に作っており、商店街に本店がある訳ではないチェーン店でも作る店は少なくありません。

 

 ハリボテで作られるものは様々ですが、一番目立つのは、アニメや映画のキャラクター、この期間だけ限定すれば「著作権の無法地帯」とも言うべき状態になります。

 ●ィズニー、任●堂などは恐るに足らずとばかりに並ぶハリボテの雄姿はまさに見どころ。商店街のイベントなので区役所からの補助金も入っているのに大丈夫かと思ってしまうのですが、一昨年などはサ●リオの「子猫ちゃん」のキャラクターのハリボテが最上位の「区長賞」を受賞していたくらいなので、区役所的にはOK、というより推進しているのでしょう。

「●ィズニー、任●堂、サ●リオ、来るなら来い、区役所が相手になってやる」というこの姿勢、本当に頼もしい限りです(笑

 

 その他、毎年話題になるのが、さらっと政治批判をしているハリボテ。インターネットのまとめサイトなどでも小さく話題になったりもしています。

昨年はアメリカ大統領候補のトランプさんを皮肉った大きなハリボテが目立ちましたが、1年経ってみると本当に大統領になってしまっているという皮肉な結果にもなりました。

 

 こうした勇者を横目で見ながら、その他のチキンハートな店は、無難なハリボテで揃えます。もっとも無難なのは取り扱っている商品をハリボテにすること。ドトールコーヒーさんは、ホットドックのハリボテを作られていましたが、そんな感じです。

 商店街ではまだまだ新参者の「たいやき ともえ庵」も、毎年やや小ぶりなサイズの「たいやき」のハリボテを吊るしています。取り扱っている商品という意味では、無難チームの一員なのですが、たいやきそのものがちょっとキャラクターっぽいので、やや救われているというのが正直なところです。


七夕ともえ庵
ともえ庵のたいやきハリボテ、右下の人が店です。

七夕ともえ庵ハリボテ
小さく見えますが、それでも降ろすとこのサイズです
 

 ただし、全体的に見れば優劣はあれど、長年出されている店のレベルは非常に高く、看板制作を本業にしたほうが良いのではと思うハリボテもいくつかあるので、見て歩くには楽しいものとなっています。

 また、上では無難などと書いていますが、木材と針金でフレームを作り、紙を貼り付けていくハリボテは、それなりに手間がかかるもので、ともえ庵でも仕事後に苦労して作っているくらいですから、毎年入賞される店はかなりの手間をかけられています。

 

■直前の時期の夜には準備の様子が見られます。

この時期に商店街を歩くと、各店の前に作りかけのハリボテが吊るされているのがわかります。実は、この作りかけのハリボテは、各店が営業時間終了後に作っているもの。店の中に置けないサイズなので、店が終わった後、路上で作っています。途中まで作ったものは上に吊り上げ、また翌日の営業終了後に作業を続けるというようにして徐々に完成させていきます。

ただし、入賞常連のお店などは作業場所を借りてずっと前からコツコツと作られています。それでも、アーケードに吊るしてから最終仕上げを行うので、七夕まつり直前の時期の夜には、各店がハリボテを作っている姿を見ることができます。

 

■露店について

「阿佐ヶ谷七夕まつり」には、いわゆるテキ屋さんのような露店は出ません。その代り、商店街の各店が店頭に露店を作って食べ物や飲み物を販売しています。

 もともと食品を売っている店はその延長で、食品を売っていない店はその日だけ食べ物を仕入れ、即席の露天商となって販売します。その他、地域の団体などが店を出したりもしているので、商店街の通りの両側はほぼお祭り向けの店が並び、お祭りにありそうな店が一通り揃っているだけでなく、この商店街にしかないようなメニューもあって大人気となっています。

 ともえ庵の斜め向かいのミートソーススパゲティ専門店「ミート屋」さんが毎年出されている500円のペンネや、店頭の巨大なパエリアパンで調理される三矢酒店さんのパスタパエリアなどが、それらのメニューです。


七夕露店
店の前にも露店が立ち並びます
 

■かき氷大戦争!

 最近のかき氷ブームのせいもあるのか、「阿佐ヶ谷七夕まつり」の期間中は、色々な店でかき氷が販売されます。以前に数えてみたところ、30店舗くらいで売られていました。

 特に普段飲食を扱っていられない店でかき氷を出されることが多く、昨年の場合、安いものは100円からありました。

 

 その中で一番人気は当然うちの店、と言いたいところですが、残念ながら七夕まつりにおいてはまだそこまでの知名度はありません。一番人気は、阿佐ヶ谷駅から商店街の入り口にある和菓子店「鉢の木」さんで、七夕まつりの土日だけ販売される限定のかき氷には長蛇の列ができます。かなり以前から続けられており、場所も目立つところなので、七夕まつりの風物詩になっておられるようです。

 

 もちろん、知名度では劣るものの、日ごろからかき氷をメニューにしている店としてともえ庵も負けてはいません。七夕まつりの期間中は、小サイズ限定ですが、かき氷全メニュー500円均一で販売し、やはりずっと行列していただき、土日には一日600杯以上のかき氷を出させていただいています。

 昨年は、4日連続でお越しいただいたお客さんや、行列に並んでかき氷を注文、食べた食後にまた行列に並ぶのを3回も繰り返されたお客さんなど、たくさんのお客さんに楽しんでいただきました。

 

■阿佐ヶ谷七夕まつりについて

「七夕」自体はもともと中国の行事が日本に伝わったもので、中国、日本、韓国にその風習があります。

日本では、もともとはお盆に続く旧暦の77日だったこともあり、各地で行事が行われ、まつりとして発展していったようです。東北の有名な「ねぶた」や「竿灯まつり」ももともとは七夕が原型と言われているそうです。

 

 商売では「二八」といって、2月と8月は売り上げが落ちるとされていますが、その時期に集客できるため、商店街の祭りとして七夕が行われる地域は日本全国に数多くあります。その中で昭和初期から開催されている「仙台七夕まつり」は特に有名で、東北を代表する祭りのひとつとなっています。

 関東で七夕まつりが有名なのは、阿佐ヶ谷意外に神奈川県平塚市や、千葉県茂原市などがあります。

 阿佐ヶ谷パールセンター商店街のホームページによると、阿佐ヶ谷七夕まつりは、昭和29年から始められ、今年で64回目となるそうです。

 もともとはやはり夏枯れの対策的な意味もあって始めた七夕まつりですが、当初より盛況となり、その成功がアーケードの建設につながったそうです。商店街で行われる七夕まつりの多くが集客を優先して週末に行われることが増えている中、日にちを固定している仙台には適わないまでも、5日間の期間を持ち、旧暦の七夕(87日)と週末を含めての開催を続けている阿佐ヶ谷は頑張っていると思います。

 

■ともえ庵の七夕メニュー

 もともと、たいやきとかき氷の店であるともえ庵では、七夕期間中も同じメニューで営業します。なので、最初の年には、「七夕の営業届けが出ていない」と保健所の方が来られ、「ここは普段どおりなんですね、すみません」と帰って行かれました。

 ただし、せっかくの七夕まつりなので、少しだけお祭り価格にします。たいやきの値段はそのままですが、かき氷は上で書いたように小サイズ全品500円均一(多くのお客さんに来ていただく関係上、かき氷は小サイズのみの提供とさせていただきますので、ご了承ください)、阿佐ヶ谷練乳餅も特別価格になります。

 また、お祭りムードを盛り上げるため、店頭でラムネ、広島レモネード、げんまいドリンクを氷で冷やして販売します。

 

 

 ずっと以前、20年くらい前に人に誘われて阿佐ヶ谷七夕まつりに来たことがあります。その時にはビールを片手に散策し、焼き鳥を食べ、ハリボテを見て回りました。

時を経て、ハリボテを作り、たいやきやかき氷を提供する側になり、楽しい祭りのために苦労されている店側の頑張りが少しは理解できた気がします。でも、そんなことをまったく意識しないからこそ祭りは楽しいもの。今度は、お客さんが楽しめるよう、苦労を見せずに頑張る番だと思っています。

 阿佐ヶ谷七夕まつり、ぜひよろしくお願いします。

 
※本文中の写真のうち3枚を阿佐ヶ谷パールセンター商店街ホームページから引用しています。