たいやき

店頭でお客さんに「天然もののたい焼き屋さんって、どれくらいあるんですか?」と尋ねられることがしばしばあります。

実は、それについて調べた資料はないので、本当のところは誰にもわかりませんでした。 
 

こちらでこの調査の新しいデータの紹介をしています(2018年9月)
 

 ご存知の方も多いと思いますが、たいやき愛好家の方々は、ひとつの金型で一匹ずつ焼く「一丁焼き」のたい焼きのことを「天然もの」、
56匹分のたい焼きの金型が鉄板状に連なり、まとめて焼く量産タイプのたい焼きを「養殖もの」と呼ばれています。

 
 

たいやき写真2

たいやきの「天然」と「養殖」についてはこちらをご一読ください。

http://taiyaki-tomoean.blog.jp/archives/70929515.html

 

なので、インターネットで情報を集め、分かりにくい部分については電話で問い合わせて、全国の一丁焼きのたい焼き店の一覧を作りました。

20175月現在の一覧表はこちらのとおりです。

http://www.tomoean.net/icchoyaki_ichiran/

 

なお、注意していただきたいのですが、一丁焼きのたいやきを「天然もの」と呼ぶのは通称のようなものなので、厳密な定義はありません。

調べる際に、区別をつける必要があるため、この調査では一匹ずつの金型に取っ手がついた道具(うちでは「ハシ」と呼んでいます)で焼くたい焼き店のみを対象としました。

二匹ずつの型で焼かれるお店が何店舗かあるのですが、ここからは除外しています。

 

せっかく表にまとめたので、少し読み取ってみたいと思います。

 

●一丁焼きのたい焼き店は全国で108店、26都道府県に分布している

 全国の一丁焼きのたい焼き店は全部で108店舗です。26都道府県に分布しています。

 また、この一覧表には載せていませんが、おそらく唯一の海外に所在するたい焼き店として、台湾に「若葉総本店(若葉鯛魚焼)」さんがあります。

一丁焼き所在地日本地図
 一丁焼きのたい焼き店がある県を色付けしました

 

●東京がもっとも多く、大阪府が次いでいる。三重県は顕著に多く、鳥取県、長野県も意外に多い。

 やはり人口が多い東京都がもっとも一丁焼きのたい焼き店が多く36店舗もあります。隣接する神奈川県、千葉県もそれぞれ5店舗所在していますが、埼玉県には1店舗しかありません。

次いで多いのが大阪府で14店舗ありますが、うち12店舗は鳴門鯛焼本舗さんのチェーンですので、店の種類という意味では決して多くありません。お隣の兵庫県も同じで、7店舗の一丁焼きのたい焼き店がありますが、うち5店舗は鳴門鯛焼本舗さんが占めています。

 

一丁焼きのたい焼き店の存在が目立つのは8店舗もある三重県です。古い店が多いようで、たい焼きは三重県発祥という説があるのにも納得させられる結果です。また、長野県、鳥取県にそれぞれ4店舗が所在しているのも目立ちます。

 

【一丁焼きのたい焼き店が多く所在している県】

 一位:東京都(36店舗)

 二位:大阪府(14店舗)

 三位:三重県(8店舗)

 四位:兵庫県(7店舗)

 五位:千葉県、神奈川県(5店舗)

 七位:長野県、鳥取県(4店舗)

 

●四国、九州・沖縄地方にはまったくない

逆に21県には、一丁焼きのたい焼き店が一店舗もありません。特に四国、九州・沖縄地方にはどの県にも所在していないことがわかりました。

 

【一丁焼きのたい焼き店が所在していない県】

東北地方:青森県、宮城県

関東地方:群馬県

中部地方:石川県、山梨県

近畿地方:滋賀県、奈良県、和歌山県

中国地方:島根県

四国地方:徳島県、香川県、愛媛県、高知県

九州・沖縄地方:福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県

 

●多店舗展開が目立つのは「鳴門鯛焼本舗」さん、「浪花屋」さんグループ

 一丁焼きのたい焼き店の多くは、一店舗のみの営業で、地元で親しまれているようなお店です。その中でチェーン展開が目立つのが「鳴門鯛焼本舗」さんで、調査時点で30店舗も展開されています。

 たい焼き業界でもっとも有名な「浪花屋総本店」さんを中心として、のれん分けされている「浪花屋」さんのグループは現在14店舗になっているようです。ちなみに、「たい焼き御三家」として知られる他の二店は、「わかば」さんが3店舗、「柳屋」さんが2店舗でした。

※「わかば」さんについては、台湾に「若葉総本店(若葉鯛魚焼)」さんがありますが、のれん分けとは認めておられないようなのでカウントしていません。また、この調査は国内に限定しているので、「若葉総本店(若葉鯛魚焼)」さんは一覧表に掲載していません。

 

 また、愛知県の「澤屋」さんは、たい焼き店を16店舗展開されていますが、そのうち2店舗で一丁焼きと普通のたい焼きの両方を提供され、他の14店舗では普通のたい焼きのみを提供されています。

 

●一丁焼きのたい焼きの平均価格は148円、一匹90円の店も存在

107軒のたい焼き店のうち、たい焼き1匹の値段が把握できた94店の平均価格は140.01円でした。

 もっとも安い店は90円(「たいやき むらさきや」さん:愛知県)で、もっとも高いのは200円(「丸子峠鯛焼き屋」さん:静岡県)でした。

「たいやき むらさきや」さんに次いで安い一匹100円の店は、岐阜県「福丸」さん、兵庫県「小椋商店」さん、「たいやき 松川」さん、鳥取県「らっぱや 大谷商店」さん、「米澤たいやき店」の計5店舗です。

※価格は普通の餡が入ったタイプのたい焼きの比較です。店舗により税込み、税抜きの表示の違いがあるので、厳密にはやや違う金額になるかもしれません。

 

●ひらがな表記の「たいやき」が多い

「たい焼き」の語が店名に入っている店は54店舗ありました。表記の順は以下のとおりです。

 1位:「鯛焼」32店舗

 2位:「たいやき」15店舗

 3位:「たい焼き」7店舗

 4位:「タイヤキ」1店舗

 

 ただし、1位の漢字の「鯛焼」の32店舗のうち30店舗が「鳴門鯛焼本舗」さんの店舗ですので、実質的にはひらがな表記の「たいやき」を使う店が一番多いということになります。

 うちもひらがな表記の「たいやき」を使う店なのですが、既製品で売っている旗やのぼりはすべて「たい焼き」や「タイヤキ」、「鯛焼き」なのが困ったところです。

 

 

 一丁焼きのたい焼き店について、知っているようで知らないことが多くありました。もっとお店を回って勉強しないといけないと、改めて反省です。

 

 なお、このブログ記事、および元データについては、転載や引用していただいて構いませんが、その際にはこのブログ記事か元データのページを出典元としてお示しください。